144/430MHz用AWXアンテナの製作

はじめに

 移動運用やコンテストなど、430MHzを運用する機会はそこそこあります。しかし、これまで移動で使用できる430MHz帯のアンテナはモビホ(ダイアモンド / AZ507FX)しか持っていませんでした。そこで今回、関東UHFコンテストに合わせて再現性が良いと評判の「AWXアンテナ」を作ることにしました。

シミュレーション

 制作に先駆け、MMANAを使用して製作予定のAWXアンテナをシミュレーションしました。1辺50cm、上部エレメントと下部エレメントの間隔は1cmとして計算しています。

AWXアンテナの形状
433MHzにおける解析結果(AWX)
145MHzにおける解析結果(AWX)

 144MHzは無指向性で、ほとんどモビホと変わりませんが、430MHz帯はそこそこGainもあり良さそうです。また、画像にはありませんが、事前に調べた通り広帯域でした。
 ついでに、エレメントを上から17.5cm(433MHzの1/4λ)の地点で折り曲げた「変形AWXアンテナ」もシミュレーションしてみます。

変形AWXアンテナの形状
433MHzにおける解析結果(変形AWX)
145MHzにおける解析結果(変形AWX)

 数々の製作記録でも言及されているように、変形AWXにすると430MHz帯のGainが若干上昇しました。どうせ作るなら変形AWXにしたほうが良さそうです。

製作I 材料

 以下の材料を用意しました。
<エレメント用>
・銅パイプ(Φ3mm)1m ×2
・圧着端子
<エレメント固定用>
・真鍮ヒートン
・端材
・M5ネジ・ワッシャ・ナット ×2
<給電部>
・5D-SFA
・圧着端子
・M型コネクタ(メス)
<マスト>
・塩ビ管1m
・塩ビ管サドル ×2
・M6ネジ・ワッシャ・ナット ×4
※マストはアンテナから1mだけ塩ビ管(絶縁材)とし、その先は鉄製パイプに金具で固定することにします。

製作II エレメント作り

① 1mの銅パイプを半分に切断し、50cmのエレメントを4本製作
② 4本のエレメントの片側に圧着端子をハンダ付けする

圧着端子を付けたエレメント

製作III 給電部作り

① 同軸を適当な長さに切る
② 同軸の片方にM型コネクタ(メス)をつける
③ 反対側の同軸を剥き、芯線と網線を分け、圧着端子を付ける

給電部

製作IV エレメント固定部作り

① 正方形の端材の中心部分から上下に若干離して2箇所穴をあける
※ 圧着端子分の隙間を空ける
② 端材の四隅にヒートンを付ける
③ エレメントと給電部をネジ止めする
※ 給電部は更に結束バンドで固定しました

全体の様子
四隅のヒートンにエレメントを通す

製作V マストを固定

① 塩ビ管用サドルを固定するための穴をあける
② 塩ビ管用サドルを固定し、塩ビ管を取り付ける

完成したアンテナ(今回は塗装もしました)

完成

 製作としては非常に簡単で、あっという間に完成しました。実際にアンテナを上げた様子がこちら。

アンテナを上げた様子

測定

 アンテナを上げた状態で、NanoVNAを使って測定をしました。一応、キャリブレーションは同軸の先端部分で取っています(=アンテナそのものの数値になっているはず)。

430MHz帯SWR
430MHz帯いインピーダンス
144MHz帯SWR
144MHz帯インピーダンス

 430MHz帯は433MHz付近に共振点があり、非常に良い状態です。一方、145MHz帯は138MHz付近に共振点があり、SWR的にも微妙です。もちろん、実際は同軸ケーブル分、見かけ上のSWRは良くなり、送信機の故障を誘発するような値にはならないと思います。144MHzは「とりあえず使える」程度の状態でした。
 シミュレーションとのズレの原因は、上側エレメントと下側エレメントの間隔にあるようです。シミュレーションでは1cmの隙間を仮定しましたが、実際は2cmほど空いてしまいました。シミュレーションをエレメント間隔2cmで行うと、かなり結果が変わることを確認できています。無調整で使えるアンテナですが、このあたりが結構シビアなようです。ちなみに、調整のためエレメントの先を5mmほど切断しましたが、430MHz帯がかなり悪化しました。「作ったまま」使うことを強くおすすめします……。

変形AWX化とまとめ

 エレメントを上から17.5cmの点(433MHzの1/4λ)で折り曲げ、変形AWX化しました。

変形AWX

 また、実際に関東UHFコンテストにてアンテナを使用しました。強度が心配でしたが、意外と丈夫で、冬山の強風にも堪えてくれました。ポールに取り付ける金具や、必須ではない塗料代を入れても総工費は3,000円弱です。アンテナだけなら1,000円以下でも作れると思います。製作も容易で、Gain的にもモービルホイップよりは稼げますので、お手軽に移動用アンテナを作りたいという方にはおすすめできる1本です。

「144/430MHz用AWXアンテナの製作」への2件のフィードバック

  1. 興味深く読まさせていただきました。
    昔(60年くらい前)私が子供のころHFで一度作ったことがありますが結構大きくて親に叱られたか、間もなく外してしまいました。
    HFではなかなか難しいですね。
    今のように測定器もなくでたらめに作りましたが結構よかった記憶があります。
    ビームができないかと思いましたが、確かカーテンビームのようなものがありましたが大きすぎて。
    たまたまこちらゼロエリアで私のもらったコールがJJ0AWX!
    不思議な縁を感じています。
    JJ0AWX JA8CHP/0

    1. じゃがさん
      コメントありがとうございます。素敵なコールサインをお持ちですね!
      AWXは (V/Uは) 比較的簡単に作れるので、もう少し改造したいと思っております。
      HFはどうしても大きくなってしまうのでなかなか……。

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